東ティモール民主共和国＜主権回復＞20周年記念シンポジウム

2022年は東ティモールの主権回復からちょうど20年です。
国連暫定行政を経て、正式独立となった2002年を「主権回復」というのは、内戦に勝利した社会主義政党フレテリンが1975年にすでに東ティモールの独立を宣言していたためです。ですが、戦争という暴力により勝利した一政党の独立宣言を認めることには反対の声も多数ありました。
20世紀は、ナショナリズムが反植民主義の正当なイデオロギーであり続けた一方、暴力の源泉であることが明らかになった時代でもありました。そのためか、2002年の「主権回復」の際、インドネシアによる植民地支配からの解放を歓迎する一方、21世紀においてもナショナリズムというかたちでしか正義の実現を示すことができなかったことに居心地の悪さも感じてきました。
コロナ渦と大国の覇権主義は新たな冷戦の時代の幕開けとも言われますが、他方でトランスナショナルな市民意識はけっして後退しているようには思えません。

シンポジウム　2002年の「主権回復」を問い直す

世界史的転換期を迎えた2022年に、東ティモールの「主権回復」は何を意味していたのか、あらためて問い直すことには重要な意義があるのではないかと考えています。
「2002年の＜主権回復＞とは何であったか」という大きな問いの中で、東ティモールの独立にはどのような意味があったのか、「歴史」「国際関係」「言語」「宗教」「民族」などの視点から問い直したいと思います。
20年―いまの大学生の皆さんはちょうど2002年前後に生まれた人たちです。
このシンポジウムでは、そうした大学生の皆さんや、東ティモールのことをよく知らない多くの皆さんに、東ティモールの歴史、文化について理解を深めていただきたい思います。
当時、アジアの小さな島で起こった戦争は、国際政治においてどのような意味を持っていたのか。
四国ほどの小さな島が東西で別々の国になったのはどうしてなのか。
インドネシアはどのような意図を持ち東ティモールに軍事侵攻し、24年に及ぶ支配を実行したのか。
正式独立から20年たった現在地から、東ティモールという国の成り立ちについて再確認することを通じて、戦争とナショナリズムについて様々な角度から再考してみたいと思います。

日時：2022年5月21日（土）10時～13時

会場：上智大学6号館（ソフィアタワー）２階6-205教室

主催：上智大学　アジア文化研究所

申込方法：参加申込ボタンからお申し込みください。（申込期限：2022年5月19日（木））

モデレーター：
福武慎太郎（上智大学アジア文化研究所）
スピーカー：
土屋喜生（京都大学東南アジア地域地域研究所）「歴史」
井上浩子（大東文化大学法学部）「国際関係」
森田良成（桃山学院大学国際教養学部）「インドネシア領西ティモール」
須藤玲（東京大学大学院博士課程）「言語」
麻場美里亜（東京外国語大学大学院博士後期課程）「宗教/文化」

ディスカッサント：
上田達（摂南大学国際学部）
奥田若菜（神田外語大学イベロアメリカ言語学科）

申込方法：2022 年 5月 19 日(木）までに以下のリンクからご登録ください。（参加申込ボタンと同リンク）
事前登録用リンク： https://forms.gle/JpG1VQ6JuHf1J3bY9
＊オンライン参加をお申し込みの方には、前日までにZoom のリンクをお送りいたします。

お問い合わせ 上智大学アジア文化研究所
i-asianc[@]sophia.ac.jp